
最近Youtubeとかで、IT業界で働く場合に客先の開発現場で働くこと(いわゆるSES)に否定的な意見を耳にします。
否定的な意見では、安くこき使われるや、自尊心が無くなるといった事が主な理由でした。
実際にこれからIT業界で働こうとしている人からすると、そのような情報を見ると「客先のプロジェクトで働くことは駄目なんだ」と思われる人もいると思います。

自分は20年位の期間を色々な客先で常駐して働きましたが、その経験から言いますと、客先の開発現場で働かせて頂いたことにネガティブな感情は無く、とても良い経験でした。
むしろ、少なくとも最初にIT業界で働くのであれば、自社開発とかではなく、大手の客先プロジェクトに参加して働いた方が良いと本人のスキルは高まると考えています。
客先常駐で働くメリット
自分が客先常駐で働くメリットは主に以下の4つです。
- 仕事のスピード感が身につく
- 自分の現在の力量が分かる
- 本当の意味で開発工程が学べる
- 問題解決のスキルが身につく
メリットの説明
上記で記載しましたメリットについてもう少し個別にご紹介します。
仕事のスピード感が身につく
多分、システムエンジニア・プログラマとして初めて仕事をする場合に、ひたすらプログラムだけを書き続けているということは、中々無いと思います。プログラムを書く際に設計書を作ることもあれば、設計をする上で調査をする事もあります。
開発をする中で開発以外の作業というものが色々な観点で出てきますが、それらの作業をどれ位のスピード感で行えば良いのか、基準が最初のうちは自分の中に無いと思います。
客先のプロジェクトですと、既に色々な人たちが開発のタスクを消化していて、客側と開発側で「このタスクだと大体どの位で完了出来そう」という公平な基準が出来ていることが多いです。その為、細かいタスクの一つ一つが他の開発者が消化しているスピード感を求められますし、その基準となるスピード感を消化する様に仕事に向き合うことで、自分のリズムもその基準に適してきます。
自分の現在の力量が分かる
常駐する客先のプロジェクトにもよりますが、大概どのプロジェクトでもエキスパートなすごい人が数人います。そうでないとシステム開発が回らないので。そのエキスパートの人達と接する中で、自分がどの分野でどの程度の力量が足りていないのかが見えてきます。
ただ、ここで自分に至らない所が見えてきても落ち込む必要は無いと思います。むしろ見えてきたからこそ、劣等感が芽生えたからこそ成長できるというポジティブな時期だと言えます。そういう人は、エキスパートの人達の仕事のやり方を少しずつ吸収していけると思います。
本来は一番落ち込まなければいけないのは、力量が足りていないのにも関わらず、それを感じられない人です。何故なら不足してる事に気づかないということは、成長する余地が生まれないからです。
本当の意味で開発工程が学べる
大人数のプロジェクトですと開発工程はとてもしっかりしていて、開発工程を学ぶ事が出来ます。これは書籍などで手法や技術は学べるといった単純な話では無いです。もちろん知識は大切なので書籍やネットなどで開発工程を学ぶことは良い事だと思います。ただ、プロジェクトは開発工程を進めるなかで色々な問題や課題が発生するので、その都度どのような進め方が必要かを肌で体験することは、にわかの知識より断然有意義で実践的です。
客先で常駐するプロジェクトは大きいプロジェクトから小さいプロジェクトまで色々なプロジェクトに携わる事が出来るので開発工程を進める力が身についていきます。
問題解決のスキルが身につく
実際に何度も開発のサイクルを進める中で自分なりの指針というものが芽生えてきます。客先で常駐するプロジェクトでは有能なベンダーさんが、各工程ごとに発生する色々な課題や問題に立ち向かっているので、一緒に仕事をする中でどのように問題を解決しているのかを学習することが出来ます。
ちなみに自分の経験から言いますと、この業界で一番大切なスキルは何かと言えば、この問題解決のスキルと考えています。その理由は別の機会で書きたいと思います。
以上
いかがでしたでしょうか?
客先に常駐して働くことがNGという意見は一概には言えなく、最終的には仕事をする人の心構え次第になるのだと思います。
もちろん、参画するプロジェクトの文化によっては、ネガティブな状態にしかならないプロジェクトもあるとは思いますので、そのようなプロジェクトがもしあれば、避けるのは得策だとは思います。
これからIT業界を考えている人の参考になれば幸いです。